金に投資するべきか?という問いには、一概には答えられません。金投資にはメリットとデメリットがあり、投資家の目的やリスク許容度によって適切な方法が異なります。この記事では、金投資の基礎知識と、金に投資する4つの方法について解説します。
金投資の基礎知識
金投資とは、金を金融資産として保有し、購入時と売却時の差分を利益として得る投資を指します。金は希少性が高く、相場も安定しているため、従来からある投資対象の1つです。第二次世界大戦前は、世界の金融政策の中心にあり、現在でも多くの国々が保有しています。
金投資のメリット
信用リスクがない
金は企業や国が発行しているものではないため、経営破綻やデフォルトのリスクがありません。金は存在そのものが価値となり、世界的に認められています。
インフレに強い
金はインフレになると相対的に価値が上がる傾向にあります。
インフレとは物価が上昇することで、現金の価値が下がることです。金はモノであるため、物価に呼応して価格が上昇します。また、災害や戦争などの有事の際にも価値が上がることが多く、安全な避難所としての役割を果たします。
価値基準が世界共通
金は世界共通で価値が認められており、他の資産と比較して換金しやすい利点もあります。
例えば日本で不動産を売買する場合、購入する際は自らタイミングを見計らえば良いですが、売却する際は日本情勢や景気変動などにより思い通りに売却できないこともあります。その反面、金であれば世界に市場が開いているため、買い手が見つかりやすいというメリットがあります。
金投資のデメリット
配当や利子はない
金は保有するだけでは資産が増えません。金の価格変動は比較的緩やかなため、大きく利益を得ることは難しいです。預貯金や株式と違い、利息や配当を生まないため、収入源としては期待できません。
管理する場合のリスクが高い
金は物理的な資産であるため、保管する必要があります。自宅に保管する場合は盗難や紛失などのリスクがあります。業者に保管してもらう場合は費用が発生します。また、売却する際には配送の手続きや手数料もかかります。
分散投資できるだけの資金を確保するのが難しい
金は高額な資産であるため、分散投資をするにはそれなりの資金が必要です。分散投資とは、リスクを分散させるために複数の資産に投資することです。
金だけに投資すると、金の価格が下がった場合に大きな損失を被る可能性があります。金以外にも株式や債券などに投資することで、リスクを低減できます。
手数料が高い
金に投資する際には、購入時や売却時に手数料がかかります。手数料は金の価格によって変動するため、事前に確認することが重要です。
また、金の価格は米ドルで決まるため、円建て価格は為替の影響を受けます。為替の変動によっては、金の価格が上がっても利益が出ない場合もあります。
金の価格変動
金の過去10年の価格を表にすると、以下のようになります。
年度 | 最高価格 (円/g) | 最低価格 (円/g) | 平均価格 (円/g) |
2014 | 4,745 | 4,142 | 4,340 |
2015 | 4,985 | 4,184 | 4,564 |
2016 | 4,655 | 4,140 | 4,396 |
2017 | 4,751 | 4,410 | 4,576 |
2018 | 4,827 | 4,207 | 4,543 |
2019 | 5,343 | 4,521 | 4,918 |
2020 | 7,063 | 5,214 | 6,122 |
2021 | 6,897 | 5,930 | 6,402 |
2022 | 8,154 | 6,680 | 7,649 |
2023 | 9,935 | 7,909 | 8,834 |
この表は、海外ドル建価格と田中貴金属の参考小売価格(税抜)を平均しています。実際の買取価格は、形状や純度によって異なりますので、ご了承ください。
この表から2010年代は比較的緩やかに上昇していますが2020年頃から大きく上昇していることが分かります。この背景には新型コロナウィルの感染拡大やロシア・ウクライナ戦争があります。
金の価格は、世界経済や政治情勢などの影響を受けて変動します。金は安全資産として需要が高く、不安定な時期には価格が上昇する傾向があります。
金に投資する4つの方法
純金積み立て
純金積み立てとは、毎月一定額を積み立てて金を購入する方法です。純金積み立ては、手間暇がかからず、個人でも気軽に投資できる方法です。1000円単位から投資可能で、一定の利益が出れば確定申告が必要です。
メリット
少額から始められる、長期的に金の価格上昇に乗れる、購入した金を実際に保有しておく必要がないため、保管コストがかからない
デメリット
金の価格が下がると損失が出る、売却時に手数料がかかる、金の価格が為替に左右される
金ETF、投資信託
金ETF
金に連動する上場投資信託のことです。金ETFは証券会社で購入でき、手数料が低い点がメリットです。保管する必要がないため、盗難のリスクはありません。
金投資信託
金に連動する非上場投資信託のことです。金投資信託は金ETFと同様に金の価格変動に連動するリターンが得られますが、売買は証券会社ではなく、信託銀行や投資信託会社を通じて行います。
メリット
少額から始められる、金の価格変動に連動するリターンが得られる、保管コストがかからない
デメリット
金の価格が下がると損失が出る、売買時に手数料がかかる、金の価格が為替に左右される
金先物、金オプション
金先物
将来のある時点で金を一定の価格で売買する契約をすることです。金先物は、金の価格が上がると思う場合に買い、下がると思う場合に売ります。金先物は、金の価格変動による利益を狙うことができますが、レバレッジがかかるため、リスクも高いです。
金オプション
将来のある時点で金を一定の価格で売買する権利を買うことです。金オプションは、金の価格が上がると思う場合にコールオプションを買い、下がると思う場合にプットオプションを買います。金オプションは、金先物と同様に金の価格変動による利益を狙うことができますが、権利を行使するかどうかは自由です。
メリット
金の価格変動による大きな利益が得られる可能性がある、金の価格が上がる場合も下がる場合も利益を狙える
デメリット
金の価格変動による大きな損失が出る可能性がある、手数料が高い
金貨、金延べ棒
金貨や金延べ棒とは、金そのものを購入する方法です。金貨や金延べ棒は、金の純度や重量によって価格が決まります。金貨や金延べ棒は、金の価格変動による利益を狙うことができますが、保管や売却には注意が必要です。
メリット
金の価格変動による利益が得られる、金そのものを所有する満足感がある
デメリット
保管場所や方法によっては盗難や紛失のリスクがある、保管コストがかかる、売却時に手数料や配送費がかかる
まとめ
金に投資するべきかどうかは、投資家の目的やリスク許容度によって異なります。金投資にはメリットとデメリットがあり、投資方法によっても特徴が変わります。金投資は、他の資産と組み合わせて分散投資をすることで、リスクを低減する効果が期待できます。金投資に興味がある方は、自分に合った方法を選んで、金の輝きを手に入れましょう。
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